弁護士法人さくらさく法律事務所ブログBlog
強制執行手続における債務者の死亡
弁護士の櫻田です。
今回は、債権者として強制執行の申立てをした後、実は債務者が死亡していたことが判明したという案件の話を。
とある給付請求訴訟で、私は原告代理人でした。
訴訟前から債務者(被告)とは連絡が取れず、期日に欠席したため、請求認容の調書判決を取得しました。
判決送達後も、何の連絡もないので、強制執行の申立てをしました。
しかし、強制執行手続開始後、債務者が既に死亡していたことが判明しました。
債務者が死亡したと書きましたが、実は警察による検視が必要な事案で、死亡したのが債務者本人かどうかすぐには特定できない状況でした(死亡日も不明)。
そこで、執行官と相談し、当該強制執行は一度取り下げることにしました。
さて、現在このような状況で、今度どうするか検討中なのですが、今回は、強制執行手続における債務者が死亡した場合の一般論を。
債務名義の執行力は、債務名義に表示された当事者だけでなく、債務名義成立後の承継人にも及びます(民執法23条)。
債務名義が判決の場合、承継の基準時は、事実審の口頭弁論終結時となります(民訴法115条1項3号、2項)。
承継人に対して強制執行をするには、相続に関する証明書類を添付した上で、裁判所に対して、承継執行文付与の申立てをし、承継執行文を取得する必要があります。
なお、債務者が強制執行開始後に死亡した場合は、承継執行文の付与を受けることなく、相続人を債務者として、その後の手続を進めることができます(民執法41条1項)。また、債務者の相続人の存在又は所在が明らかでないときは、特別代理人が選任されることがあります(同条2項)。
以上が一般論なのですが、本件の厄介なところは、現時点で債務者の死亡日が不明ということです。
果たして、死亡したのが、強制執行開始後なのか、口頭弁論終結後なのか、それとも、訴訟係属中又はそれ以前に実は死亡していたのか。
この点は、警察等の協力も得ながら、現在調査をしているのですが、判明した死亡日次第で、今後採るべき手続が変わってくるので、非常に気になるところです。
相続人の協力が得られればありがたいのですが、本件は債務の相続ですし、実際に相続人との接触も試みたのですが、任意の協力はまったく期待できない状況です。
ともあれ、粛々と法的手続を踏んでいくしかありませんね。