弁護士法人さくらさく法律事務所ブログBlog

法律コラム

弁護士の立場は依頼を受ける案件ごとに様々です

弁護士の櫻田です。

 

もう8月も終わりだというのに、暑さは収まりませんね。

7月からの記録的な暑さのダメージが残っているところに、猛暑日の連続は厳しいです。

 

さて、当然のことかもしれませんが、弁護士の立場は、依頼を受ける案件ごとに様々です。

 

債務整理であれば、債務者の代理人として立場。

債務者代理人であれば、債権者と交渉して和解をするか、破産等の法的手続の申立てをすることになります。

 

債権回収や不動産明渡しであれば、債権者の代理人としての立場。

債権者代理人であれば、債務者に対して、支払いや明渡しを請求し、履行の確保に向けて、訴訟や執行等の法的手続を採ることになります。

 

債務者と債務者はまったく逆の立場ですが、案件ごとに、立場を変えて、それぞれの依頼者の利益が実現できるよう活動しなければなりません。

債務者として立場が弱かったとしても、主張すべき点は主張する。

債権者として立場が強かったとしても、実現不能な行き過ぎた主張はせず、実現可能な履行の成就を第一に考える。

 

債権者・債務者だけの立場に限らず、家事事件の当事者の代理人、企業の顧問としての立場、公的機関から委嘱された委員の立場など、より深い配慮が必要な場合も多いです。

 

ともあれ、案件ごとに、頭を切り替え、対応を変えていかなければなりません。

弁護士になる前はすごく難しいことだと思っていましたが、いざやってみると、意外に自然とできるものだと思っています。

反面、案件ごとに立場は様々とはいえ、どんな状況であろうと、弁護士として、人間としての筋は通っていないといけないとも思います。人格が体現する仕事ですからね。

 

余談ですが、民事事件の代理人ではなく、刑事事件の弁護人の場合は、周囲から、「あなたは弁護士だから犯罪者の弁護もするのですね」など、けっこうな皮肉を言われることがあります。

賛否はあるでしょうが、刑事弁護も弁護士の職務の一つです。

弁護人がいないと刑事訴訟手続が成り立ちません。弁護人だからとって、犯罪を擁護しているのではありません。

私は刑事弁護を扱うことは少ないですが、弁護人としての信念は必要でしょう。