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法律コラム

「必ず」「確実に」とは言えませんが…

弁護士の櫻田です。
師走ですね。今年もあと1ヶ月。年内にやれることはやっておきたい、そう思う時期です。

さて、様々な相談を受けていると、時々、「この裁判には必ず勝てるでしょうか?」「裁判所からの決定は確実にいただけるのでしょうか?」といった類のご質問を受けることがあります。
これらのご質問に対する回答は決まっていて、「必ず」や「確実」といったレベルで有利な結果をお約束することはできません。仮に、事件の見通しが明るく、有利な結果を導けると内心で確信していた場合でも、回答は同じです。

自信がなかったり、有利な結果が導けなかった場合の責任逃れをしたりということではありません。
弁護士には、職務の自由と独立が保障されていますが、反面、自らの行動を規律しなければなりません。弁護士の倫理や行為を規律する規範の一つとして、「弁護士職務基本規程」があります。
その29条2項では、「弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。」と規定されています。
つまり、「必ず」「確実に」有利な結果となることを約束してはいけないのです。

実際上も、弁護士は、代理人や弁護人となって、当事者たる依頼者の方の弁護をしますが、当然、交渉では相手方がいますし、裁判となれば裁判官が判断を下すことになるので、交渉や裁判の結果まで、弁護士が判断・確定できる権限や立場にはないのです。
こうした現実からも、やはり、「必ず」「確実に」大丈夫だとは言えないのです。

しかしながら、逆に、事件の見通しや、考えられるリスクや不利益な結果については、専門家の立場から、随時、お伝えしなければなりません。「必ず」「確実に」とは言えないけども、主観的な可能性や、それまでの経験や実績などは申し上げることができます。

また、有利な結果を約束できないことが、いい加減な職務をするための口実となることは決してありません。有利な結果を約束はできないけれど、依頼者の方の利益に適うよう、最善の努力を尽くすことは言うまでもありません。

事件の見通しなどについて、時には、耳に痛いことをお話しなければならないこともありますが、それを承知いただいて受任をさせていただければ、希望される結果に少しでも近づけるよう尽力することはお約束しますので、まずは、安心してご相談いただければと思います。

では、今月もよろしくお願いいたします。